還暦ワインとリコルクについて
還暦ワイン=60年熟成の古酒についてしばしば話題に上がる「リコルク」についてお話します。
- コルクの役割
ワインはとても「酸化」に弱い飲み物ですので、何もせずに空気にさらしておくと酸化してしまい、品質が著しく低下してしまいます。
そこでなんらかの酸化対策をしなければならず、その一つが酸化防止剤であり、コルク栓やキャップです。
コルクは
・軽くて弾力性がある
・液体に対して疎水性に優れている
・腐りにくい
・酸に強い
などの特性を持った木材で、ワインを密閉し、酸化を防ぎながらゆっくりと熟成させるために古くから使われています。
コルクの状態が良ければ長期熟成ワインは本当に素晴らしい風味を感じさせてくれますが、状態がわるいと著しく劣化したものになってしまう可能性があります。
その意味で長期熟成ワインにとってコルクの状態は非常に重要な要素であるといえます。
※コルクが呼吸しているか(外気を取り込んでいるか)については諸説あります。
- コルクの寿命
25-30年といわれていて、通常20年前後でコルクの交換が行われます。
このコルクの交換を「リコルク」と呼びます。
「還暦ワイン」のように何十年も熟成させたワインは、複数回リコルクが行われている場合があります。
- リコルク時に行われる作業
・状態の確認
・目減りの補充
目減り分の補充は通常同じ年のワインを入れて調整します。その際に一度空気に触れてしまう事で熟成具合に多少ですが影響があるようです。
・ラベルの貼り替え・リコルクの旨記載
リコルクは通常 シャトー(生産者)またはネゴシアン(ワイン商)で厳格に行われるため、まったく別のワインが入れられてしまったり、乱雑に扱われる心配はありません。
- リコルクをしないと・・・
古いワインの場合はリコルクをしていないリスクが心配です。
リコルクをしていれば、シャトーのセラーマスター等がしっかりと状態をチェックし、お墨付きとした上で再出荷されるため、品質の不安はありませんが、そうでない古酒ワインについては、どういう状態にあるかわかりません。
コルクは古くなっているため、乾燥により外気を遮断する機能が働いていなかったり、経年劣化でコルクが痩せてしまうと、ある日突然ボトルの中に引き込ませてしまう現象が起こることも極まれにですがあるようです。
そうなれば「フタ」がない状態ですから、抜栓したのと同様ですので、数日の内に飲む必要があります。
また、横にしていれば当然、液体が流れ出てしまう可能性もあります。
- まとめ
コルクは熟成ワインにとって品質を守る重要な役割を担うものです。
シャトーやネゴシアンでの正式な形でリコルクしたものは、言い換えればコルクの適正な管理をしたものです。
目減り分の補充をきらってリコルクしていないものを選ぶ愛好家の方もいらっしゃいますが、品質管理の面からは適正にリコルクされたものをお選びになることをオススメいたします。