ピュリニーとムルソーと「フィリップ・シャヴィ」
ムルソーとピュリニー・モンラッシェはどちらも世界的に有名な白ワインを生み出す隣接した産地です。
ムルソーは「ハツカネズミのジャンプ」がその名前の由来とされ、諸説ありますが、ねずみが飛び移れる程ブドウの木が密集した産地だったからなどと言われています。味わいの方も非常に濃密感があり、バターのようななめらかさや伝統的な樽熟成の風味などが特徴とされています。
その「濃厚さ」こそがムルソーの特徴であるといえます。
ピュリニー・モンラッシェは「禿山」が由来であるとされています。
「モン」が山、「ラッシェが」が禿げた、ピュリニーというのはラテン語からくる「プリニアクス」という地名との事。
植物の生育にとって厳しい石灰質土壌が広がるその土地は植物が生い茂ることなく禿げて見えたのだと思いますが、この石灰質土壌がブドウに与えるストレスは、非常に高品質なワインを造るのに最適な条件でした。
厳しい環境である石灰質土壌で生まれた「ピュリニィ・モンラッシェ」はしばしば「強くひき絞った弓」と表現される、酸の非常に引き締まった、緊張感のある味わいです。
この村の最上級畑である「モンラッシェ」から産み出されるワインは「跪き、脱帽して飲むべし」とまで言われる「白ワインの王様」です。
「フィリップ・シャヴィ」はそんな、隣同士でありながらある意味対極とも言える特徴を持つ、ムルソーとピュリニーのサラブレットとして生まれます。
母方はムルソーの生産者、父方がピュリニー・モンラッシェの生産者で、どちらにも畑を所有しています。
もともとはネゴシアンにバルク販売していた家業を引き継ぎ、彼の代から大きな変革を起こしました。
自身で醸造・瓶詰めまでする自家元詰めに転進し、栽培方法はより自然な方法で天体の動きまでも考慮した「ビオディナミ」を採用。
より低温で発酵させ、伝統的な樽熟成でありながら、酸化を最低限にするために大きな樽を導入し空気接触する表面積を最低限に抑えています。
バトナージュなどで無理に厚みを出さず、自然な果実の力を活かしています。
若くして飲んでも楽しめ、それでいて熟成のポテンシャルもあるワイン造りをしています。
2016ピュリニ・モンラッシェ・コルヴェ・デ・ヴィーニュ(フィリップ・シャヴィ)
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