熟成について考える〜何十年後も飲めるワインとは?〜
2024/10/11
いつもワイズワインギャラリーをご利用いただき、ありがとうございます。
当店の自慢はやはり大切な方へ贈るギフト用のヴィンテージワインです。そこで「熟成」について考えてみたいと思います。
当店に限らず、ワインに関しての質問でよくあるのが、
「息子、娘が今年生まれたんだけど、生まれた今年のワインが欲しい!」というもの。
今年のワイン・・・は今頃まだ、葡萄の房のまま木にぶら下がっているなぁ・・・。
「いやいや、ボージョレー・ヌーボーがあるじゃないか!」
「それを20年、30年寝かせて飲む!」
・・・といった話をよく聞きます。
「ワインは寝かせれば寝かせるほど美味しくなる!!」
と思っていらっしゃる方が結構いらっしゃいますが、非常にデリケートなお酒ですので、ワインを記念にご購入いただいて、それをリビングルームのテレビ台や何かの上に置いておいたら、確実にすぐにだめになってしまいます。
ワインの保管、管理方法に関しては非常にたくさんの条件があり、美味しく飲める状態を保ち、さらには成長を促すには設備コストがかかります。当店のワインも24時間365日完璧に近い状態を保つためのセラーに全てのワインを保管しておりますが、それもワインショップだからできること。
ただ、じゃあそのセラーの中にボージョレー・ヌーボーを入れておいたら、美味しく熟成するの?
ヌーボー(新酒)解禁時に発売されるボージョレーは少なくとも、春のお花見シーズンまでには飲んでしまった方が良いと私は思っています。(※熟成能力に優れたボジョレーはムーラン・ア・ヴァンとモルゴンをおすすめします)
では、「その他のワインは20年後に飲めるの?」
答えはワインは葡萄の品種や醸造方法によって、
「若いうちに飲む、早飲みワイン」「数年の熟成で飲むのがベストなワイン」「長期熟成に向いてるワイン」に分かれます。
長期の熟成に耐えうるようなワインは若いうちは「荒々しいほどのタンニン」と酸味、渋み、苦みを感じることがあります。
有名シャトーのワインを若い状態で飲んで「無茶苦茶渋いし酸っぱいじゃないか!」という非常に勿体無い話を聞いたことがあります。
俗にいう「まだ飲み頃ではなかった」と言われている現象です。
「角張った渋み」と「刺さるような酸味」は整った環境の中でゆっくりと時間(ものすごくゆっくりと進む酸化)を経て、柔らかな味、まろやかな質感、そして複雑な香りを生み出します。
では、それらのワインの飲み頃はいつなのでしょうか?
熟成の頂点というのは人によって意見が違うのです。
私は過去に20年〜30年以上熟成したワインを何度か飲んだ経験がありますが、私にはピークを過ぎたワイン・・としか感じなかったワインもありました。この「飲み頃」に関して言えば数字として表せる賞味期限の様なものもありません。
ですが、当店で取り扱っている主なラインナップはまさに「長期熟成してこそ価値が発揮される」素晴らしいワインたちばかりです。
品種という観点から見てみましょう。
ヴィンテージ向きワイン、まずはズバリボルドー品種と言われるブドウ品種たちです。
重口でしっかりしたタイプの長期熟成タイプで有名なボルドー地方のワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー等の品種を使用してあり、タンニンがあり樽熟成に耐え、若いうちは堅さやボリュームがありますが、長い間熟成させることで柔らかくなり、重厚感あるワインを造り出します。(ボルドーのワインでも、若いうちに飲み頃を迎えるワインもあります)
そして、もちろん次はこれしかありません、ピノ・ノワールという単一品種を使用したブルゴーニュ地方のワインです。
酸味が高く、果皮がもともと薄いデリケートなピノを一流生産者たちは素晴らしい熟成へと導きます。
この様なワインは5年、10年と瓶熟してから飲み頃を迎えるものもあるので、家で保管するのであればワインセラーは必要不可欠と言えます。
例えば「還暦年を迎える方へのギフト」として、60年もののヴィンテージワイン。
メドック格付け4級、ファンも多いシャトー・タルボは
熟成を経た果実味、溶け込んだタンニンと熟成感。
ボリュームと酒軀と円やかさのバランスが素晴らしい逸品です。