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スパークリングコラム① スパークリングワインのはじまり

      2019/07/06

いつもワイズワインギャラリーをご利用いただき、ありがとうございます。

段々と暑くなり、スパークリングワインが飲みたくなる季節ですので、本日より連載で「スパークリングワイン」についての投稿をしていきたいと思います。

まず第一弾としてスパークリングワインのはじまりについてお話いたします。

 

おさらい そもそもスパークリングワインとは?

炭酸ガスを含む発泡性のワインです。

発泡性ワインに対し、通常のワインは「スティルワイン」と呼ばれます。

アルコール発酵はを酵母等によってアルコール+炭酸ガスに分解する反応ですので、スティルワインを造る場合でも炭酸ガスは発生しています。

あとはそのガスを瓶内に閉じ込めるか閉じ込めないかの違いということになります。

※醗酵によるガスは逃がし、後からガス充填する方法もあります。

 

1.スパークリングワインはどこではじまったのか?

スパークリングワインといえば「シャンパーニュ」ですが、スパークリングワインの発祥は実はシャンパーニュ地方ではないと言われています。

シャンパーニュのスパークリングワインの祖といわれる「ドン・ペリニヨン」の生まれる100年以上も昔から、南仏の産地「リムー」では、モーザックと呼ばれる品種を使用したスパークリングワインが造られていました。

世界で初めてスパークリングワインを取引されたとされる記録も残っているとのことです。

冬の寒さで一時的に醗酵が止まったワインを容器に詰め、春に温かくなって醗酵が再開する事で醗酵による炭酸ガスが閉じ込められた事がはじまりとされています。

 

2.ドンペリニヨンとシャンパーニュ

ドンペリニヨンがシャンパーニュ地方の修道院でワイン造りを始めた頃、シャンパーニュ地方では赤ワインを中心に造っていました。

当時のライバルはブルゴーニュでしたが、ブドウが栽培できるギリギリの冷涼な環境にあったシャンパーニュでは、黒ブドウが十分に色付かず赤ワインで勝負する事は難しいとドンペリニヨンは考えました。

しかし、当時栽培されていたのは黒ブドウが中心。

そこでドン・ペリニヨンは、黒ブドウをソフトに圧搾する事で果皮の色素を抽出しない技術を考案しました。

黒ブドウから白ワインを造る、「ブラン・ド・ノワール」と呼ばれるものです。

※この技術は現代でも行われており、このためにシャンパーニュでは「房ごと収穫出来ない方法」すなわち機械収穫は禁止されています。

房から粒が外れてしまうと、果汁が果皮に接触し、色素が抽出されてしまうためです。

 

白ワインにシフトしたところまでは良いのですが、肝心なのは「泡」ですよね。

もともとドン・ペリニヨンはいかにワインに泡を持たせないかに力を注いでいました。

もともと非常に冷涼な気候のシャンパーニュは、低温下で醗酵が止まり、後に樽の中で再開して泡が出来てしまうと言う事は良くありました。

そしてこの泡はワインの質を低下させるものとして避けられていました。

また、当時フランスで流通していた薄いガラス瓶では圧力に耐えられず破裂してしまうことも多かった様です。

 

こうしたシャンパーニュがイギリスに運ばれ、泡の出るワインを面白がったイギリス人が、イギリスで流通していたより強いガラス瓶に詰めてコルクで封をする事で「スパークリングワイン」としてのシャンパーニュが楽しまれるようになったとされます。

この説によればスパークリングのシャンパーニュはドン・ペリニヨンの発明ではなく、イギリス人による発明ということになりますね。

その他にもドン・ペリニヨンが「リムー」から発泡性ワインの製法をシャンパーニュに伝えたとする説や、ドン・ペリニヨンが偶然発見して「私は星を飲んでいる」と表現したなどさまざまな説が飛び交っています。

 

 

3.シャンパーニュの品質向上

当時のスパークリングワインはアルコール発酵の途中で容器に詰め、容器の中で醗酵を継続するという「メトード・アンセストラル」という方式でした。

※近いものとして日本でも「活性にごり」といわれる日本酒がつくられています。

現代のシャンパーニュでは、一回目の醗酵を終えてから、瓶詰め時に糖や酵母等を添加することで、瓶内で2回目のアルコール発酵をさせる瓶内二次醗酵(メトード・トラディショナル)という方式が取られています。

この方式で造る事で、ブドウの糖が上がりにくいシャンパーニュ地方でも、十分なガス圧と質の良い泡を獲得する事が出来ます。

 

瓶内二次醗酵をさせる際の最適な糖分添加量を研究した薬剤師のアンドレ・フランソワ、

瓶内二次醗酵の際の澱を取り除くための「ピュピトル」という台を開発した「ヴーヴ・クリコ」、

コルクを瓶に固く固定する留め金「ミュズレ」を開発した「ジャクソン」、

数々の先人の功績により、シャンパーニュの製法はより洗練されたものになり、世界一のスパークリングワインの地位を揺るぎないものにしました。

 

 

4.シャンパーニュブランドの確立と保護

シャンパーニュの高い品質が認められ、スパークリングワインといえば「シャンパーニュ」という位置づけが出来上がると、

世界中で「シャンパーニュ」という名前を無断使用される事例が相次ぎました。

そこで、シャンパーニュのブランドを守るため、「原産地統制呼称法」により、シャンパーニュを記載できるのは、

シャンパーニュ地方で生産され、厳しい基準をクリアしたワインだけというルールが制定されました。

こうして長い時間をかけてシャンパーニュはスパークリングワインの中でも確固たる地位を築き上げてきました。

 

シャンパーニュのブドウ栽培や醸造についてはまた次回以降まとめて行きたいと思いますので、

興味がある方は是非お付き合い頂ければ幸いです。

 

 

5.関連商品のご紹介

せっかくなので今回のお話に関連したシャンパーニュをご紹介させてください。

ドン・ペリニヨン P2

https://onlineshop.yswinegallery.com/shopdetail/000000002222/

シャンパーニュの祖といわれるドン・ピエール・ペリニヨンの名を冠した世界一の知名度を誇る銘柄。

なかでもP2は熟成の2度目のピークに達した更に上級のシャンパーニュです。

 

アンドレ・クルエ シルバー ブリュット・ナチュール

https://onlineshop.yswinegallery.com/shopdetail/000000001517/

本文の中でも触れた、黒ブドウ「ピノ・ノワール」のみで造られたブラン・ド・ノワールです。

通常行われるドザージュ(糖添加)を行わず、骨格と果実味があるとされる「ブジー」産ピノ・ノワールの

ポテンシャルをピュアに表現しています。

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