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スパークリングコラム② シャンパーニュの栽培環境

      2019/07/31

 

前回はシャンパーニュのはじまり・歴史の部分にフォーカスをしましたが、今回は栽培エリアの気候や土壌等についてまとめて行きたいと思います。

1.シャンパーニュ地方の栽培エリアについて

シャンパーニュはフランスの北部に位置し、ブドウが栽培できる限界と言われるほど冷涼なエリアです。

 

シャンパーニュ地方は5つのエリアに分けられます。

モンターニュ・ド・ランス

最も多くのグランクリュブドウ畑があり、ピノ・ノワールで有名です。

「マイィ・シャンパーニュ」「ヴェルズネイ」「ヴェルジー」などモンターニュ北部のグランクリュは、北向きの畑で果実の熟度は高まりませんが、夜間の山からの風で冷涼な空気が押し出され、ボディ・骨格を持つ精緻な酸のワインになります。

対して南部の「ブジー」や「アンボネイ」といったグランクリュはより繊細になる傾向があります。

「クリュッグ」「ルイ・ロデレール」「アンリオ」などの数多くの生産者が拠点を構えます。

 

2005キュヴェ・エメラ 箱付(アンリオ)

https://onlineshop.yswinegallery.com/shopdetail/000000000810/

 

 

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ

冷涼な空気のたまりやすい谷になっているエリアです。

ブドウの芽が霜の被害に遭わないよう、比較的芽吹きの遅いピノ・ムニエが選択されます。このエリアのものは飲みやすくフルーティーになる傾向があります。

アイ・シャンパーニュとトゥール・シュル・マルヌという二つのグランクリュがあります。

「アルフレッド・グラシアン」「ボランジェ」「タルラン」等、多くの生産者が拠点を構えています。

 

NVブリュット・ナチュール(アルフレッド・グラシアン)

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コート・デ・ブラン

上質なシャルドネをほぼ独占的に栽培するエリアです。

アヴィズ、クラマン、オジェ、メニル・シュル・オジェの4つのグランクリュを持っています。

熟成に向くブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%のシャンパーニュ)のみでなく、シャンパーニュに繊細さを加えるため、ブレンドされることもあります。

「アグラパール・エ・フィス」「ドゥラモット」「ジャック・セロス」等の生産者が拠点を構えています。

 

2011ブラン・ド・ブラン・ミネラル・エクストラ・ブリュット特級(アグラパール・エ・フィス)

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コート・ド・セザンヌ

コート・ド・ブランとはサン・ゴンという湿地帯によって分けられる。

コート・デ・ブラン同様シャルドネの産地ですが、ややフィネス(洗練性)にかけると言われます。

 

コート・デ・バール

比較的知られていないエリアですが、全栽培面1/4ほども占めています。

ノン・ミレジムのシャンパーニュを生産する際、モンターニュ・ド・ランスのピノ・ノワールが高価過ぎる場合などにブレンドに用いられることがあります。

 

 

2.シャンパーニュの気候

シャンパーニュは大陸性気候ながら海の影響もある程度受け、上質な果実を生育するのに十分な降水量(年間700ml)があります。

年間平均気温は11度ほどと非常に冷涼ですが、緯度が高いために日中が長いです。

ただし、日照時間は平均1680時間/年ほどで、ボルドーやブルゴーニュに比べて短いです。

(ここ数年では2100時間ほどに上がっています。)

果実が熟すには困難な環境ですが、この冷涼な環境のなかでゆっくりとブドウが糖度を高めていくことで、酸が強く高品質なフレーバーのシャンパーニュに仕上がります。

 

3.シャンパーニュの土壌

シャンパーニュ地方の土壌は石灰岩を基本としています。

石灰岩は非常に多孔質であり、乾燥した季節にもブドウが成熟するのに十分な水分を蓄えることができます。

また、水はけもよいため、雨が降れば余計な水分はしっかり排水してくれるという性質もあります。

 

石灰質土壌は「カルシウム」などのミネラルを多く含み、このような土壌から造られたワインについて「ミネラリティ」があると表現されることがありますが、ここでいう「ミネラリティ」は、ミネラルそのものを感じ取っているのではなく、「揮発性硫黄化合物」を感じ取っているとする説が有力です。

 

まだ科学的にははっきりとはしていませんが、石灰質土壌の窒素不足のストレスからそうした硫黄化合物が生成されるとする説もあります。

 

以上、少々むずかしいお話も含みましたが、スパークリングワインの最高峰と呼ばれる「シャンパーニュ」がどのような環境で栽培されているかについて書いて見ました。

次回はどのようなブドウをどのようにして栽培・収穫しているかについて書きたいと思います。

引き続き、どうぞよろしくお願い板します。

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